2017.01.22

子ぎつねと布団屋のおじいさんの素敵な電話『コンタロウのひみつのでんわ』


『コンタロウのひみつのでんわ』

山のふもとに小さな布団屋さんがありました。
おじいさんがたった一人で守っているお店です。

ある春の夕暮れ時、小さな男の子が布団を買いにきました。
「春のふとん」が欲しいという男の子に、
おじいさんは白い小さなバラの模様のついた布団を出してあげました。

「これは、野ばらですね。花ざかりののばらですね。
僕は前からこんなのが欲しかったんです。」

すっかり気に入った男の子は布団を家まで届けて欲しいというのです。


nobara.jpg


ひとりぼっちの子ぎつねとおじいさん。
思い出を大切にしながら独りで暮らしている二人を繋ぐのは
山にある秘密の電話です。
でも、冬になると電話ができなくなってしまうのです。

離れていてもお互いに思いやる気持ちを持ちながら、
春になってまた電話で話せる時を心待ちにしている二人の姿に
切なさと暖かい気持ちがこみ上げてきました。

私もまた話がしたいなと思う恩人がいます。
このブログを始めるきっかけをくれた人です。
自分には何もないと思っていた私に、
こんなにも好きで夢中になれるものがあったんだと
気づかせてくれました。

その人の誕生日がもうすぐなのです。
感謝の思いを込めて、この物語を贈りたいと思います。

2016.12.03

はた織りの青年が求めた憧れの果て『銀のくじゃく』


『銀のくじゃく』

ある南の島に、腕の良いはた織りの若者がいました。

寝食を忘れるほどに仕事熱心で、
いつもはた織りの新しい模様のことを考えていました。

藍色の大きな蝶や、空の星、青い空ばかりか、
いつしか目に見えない夢や悲しみ、歌なんかを
布の中に表現してみたいと思うようになっていました。

月も星もないある夜、黒ずくめの老人が訪ねてきました。

「ぜひ、あなたに織って頂きたいものがあるのです」と。

それは心を動かされる仕事の依頼でした。


kujyaku.jpg


”おそろしい思いをするかもしれない”と分かっていても
自分の思うような美しいものを作ってみたいという気持ちは
止められなかったのでしょう。

そう思い込んだら引き返せないのかもしれません。

思い通りのものを作り上げたとき、若者はもう元の若者ではありませんでした。
夢と引き換えにたどり着いた果ては…。

きっと、私はこんなふうに何かに夢中になんてなれない。
憧れた夢に手を伸ばした若者が少し羨ましく思えます。

そう思うと彼が選んだ道をただ非難する気にもなれないのです。

終始、薄い霧がかかったような情景を想像しました。
幻想的で淋しさが残る物語です。




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