2015.09.04

安房直子さんのこと(プロフィール)


安房直子さん

私が安房直子さんを知ったのはこちらにも書いているように中学生の時でした。

でも、あとになって小学生の時、学校の図書室で『北風のわすれたハンカチ』や
『天の鹿』なんかを読んでいたことに気づいたのです。

今では安房直子さんの作品は、学校教材で取り上げられることが多いようですので
物語は知ってるけど…誰だっけ?っというかたも多いのではないでしょうか。

このブログを訪問して下さったかたは、「安房直子」で検索していらして下さったかたが多いかと思いますが、あんまり知らないなというかたのために、ちょっと簡単にご紹介させていただきます。


<安房直子プロフィール>

1943年1月5日、東京都生まれ。
引越しが多く小中学校と転校が続き、内向的な性格もあってか
外で遊ぶよりも一人で空想したり、本を読むのが好きだったそうです。
影響をうけたのはグリム童話やアンデルセン童話。

日本女子大学国文科在学中に児童文学のレポート代わりに『空色のゆりいす』を書き、それが『目白児童文学』という児童学科の雑誌に掲載され、童話の道に本気で進みたいと思うようになったようです。

そして『目白児童文学』や講座仲間と作った同人誌『海賊』に作品を発表していき、
その中の作品『さんしょっ子』は第3回日本児童文学者協会新人賞を受賞。

1971年に初めての著書『まほうをかけられた舌』、そして『北風のわすれたハンカチ』を刊行。

代表作は、『きつねの窓』『北風のわすれたハンカチ』『うさぎのくれたバレエシューズ』『ハンカチの上の花畑』など多数。

1993年2月25日、肺炎のため逝去される。享年50歳。
『花豆の煮えるまで−小夜の物語』を連作形式で執筆。
小夜の物語『大きな朴の木』はやはり次の展開を予想させるような終わり方だと思います。
きっと、安房さんがご存命なら、この続きがあったのかもしれません。

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青色が好きでお花も青系のものを好んでいらしたようです。


【各受賞作品】
『さんしょっ子』第3回日本児童文学者協会新人賞
『風と木の歌』第22回小学館文学賞
『遠い野ばらの村』第20回野間児童文芸賞
『山の童話−風のローラースケート』第3回新美南吉児童文学賞
『花豆の煮えるまで−小夜の物語』第2回ひろすけ童話賞、赤い鳥文学賞特別賞

※『安房直子コレクション』より引用させていただきました。

2015.09.01

風鈴がうるさいと葉書が届きました。『秋の風鈴』


『秋の風鈴』

ある日のこと、貧乏な絵かきの「僕」の部屋にこんな葉書が届きました。

「おたくの風鈴がうるさくて夜ねむれません。
 あたし達は、もう長い間寝不足なのです。
 夏のあいだは、がまんしていました。
 でも、もうそろそろとりこんでくださったらいかかでしょう。」


毎日、良い気持ちで聞いている風鈴の音がうるさいだなんて
考えてもみないことでした。
あの音が気になって眠れずにいる人がいるなんて。

絵かきは古いアパートの一階に住んでいました。
差出人の名前が無い葉書を見ながら、
隣近所の人たちを思い浮かべましたが誰なのか分かりません。

この風鈴は大切な思い出の品でした。
夏になる前、過ごした山村で出会った少女がくれたものなのです。
軒下にかけておくとそれだけで仕事に集中することができました。
そして、良い絵がかけるようになった気もしているのです。
それなのに、この葉書だけでしまうわけにはいかないと、
なかば意地になってそのままにしていました。

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それから十日ほどして、大量の葉書の束が届きました。
葉書の重みで郵便箱が床に転がり落ちてしまったほどです。
その全部が風鈴に対する抗議文でした。
葉書の字はどれも似たような筆跡で、
植物の葉を思い出させる草のつるの様なペン字です。
これほどまでに風鈴に迷惑している人がいるなら…、
絵かきは思い出の風鈴を軒下からはずしました。

それからは、何事もなく日々は過ぎていきました。
ただ絵かきだけは、水の底に沈んでいるような虚しさを感じていました。

そして、十月のある秋晴れの朝。
雨戸を開けた絵かきは、何もかもがすっかり分かったのでした。


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風鈴は日本の夏の風物詩。
一軒家の実家にいた頃は風鈴の涼やかな音色が心地よくて好きでした。
それに隣近所から風に乗ってかすかに聞こえてくる風鈴の音も風情がありました。
あの頃は風鈴の音が邪魔になるなんて考えたことなかったと思います。
でも、家を出てアパートで一人暮らしを始めた時です。
お隣さんがベランダに風鈴を下げていたのです。
最初、かすかに聞こえる音を懐かしく楽しんでいたのですが、
一日中少し強めの風が吹き続けていたとき、
こんなにも風鈴の音に悩まされるのかと思った時がありました。
窓を閉めていても隣のベランダの風鈴の音ははっきり聞こえます。
ワンルームなので逃げ場がないところで眠るしかなく、寝不足になりました。
そのうちに、自分でもうるさいと思ったんでしょうか、
お隣の風鈴の音は聞こえなくなっていました。

最近、涼しくなってきました。
もう、夏もおわりですね。


『夢の果て−安房直子 十七の物語』に収録されています。



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